校長室だより

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help リーダーに追加 RSS 朝会講話より

<<   作成日時 : 2006/11/13 14:42   >>

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今日はいつもより長く約6分間くらいお話しします。これからお話しするのは、今から丁度20年前の昭和61年、東京都内のある病院に入院していた2年生の男の子のことです。名前をKさんと呼ぶことにします。Kさんは3歳から重い病気にかかってずっと入院していたため、幼稚園や小学校がどんなところか知りません。その病院の中にはつくし学級という訪問学級がありました。週2回ほど隣の小学校から先生が勉強を教えに来てくれてくれていました。Kさんの入学式は病院で行いました。校長先生と担任の先生が病院に来て、一人だけの入学式をしました。Kさんは1年生の時、たった一度だけ学校に行ったことがあります。4時間目だけ1年1組で授業を受け、みんなと一緒に給食を食べて病院に帰りました。それ以来、毎月1年1組のみんなと手紙の交換をするようになりました。そして、2年生になると、担任が新しく先生になったばかりのゆき子先生になりました。つくし学級の友達は5年生、4年生、2年生のKさんともう一人の男の子の4人でした。Kさんは本を読むのが大好きでした。特に「はれときどきぶた」はほとんど暗記していて、一冊すらすらと読むことができました。また、オセロが得意で、ゆき子先生と勝負した時、黒のゆき子先生の石が最後に全部真っ白にされてしまったこともありました。Kさんは集めているものが2つありました。ガンダムの消しゴムと電車の切符です。ガンダムはその当時人気のアニメで、主人公がモビルスーツを着るとパワーアップし、空も飛べます。それでKさんもそのモビルスーツに憧れたのかもしれません。また、電車の切符は、病院の中で電車ごっこをするために集めていました。電車に乗ったことのないKさんは、電車ごっこが大好きだったのです。友達や看護士さんたちからもらった切符を大切にアルバムにしまっていたそうです。
 1学期は無事終わり、2学期を迎えようとしていた夏休みの終わりのことです。ゆき子先生はKさんの主治医の先生から、血液検査の結果、命があと1か月しかないということを知らされました。ゆき子先生はとても悲しくなりましたが、授業だけは最後まで続けようと決心しました。そんなある日、ゆき子先生はつくし学級で4年生の女の子と国語で「一つの花」という物語の勉強をしていました。Kさんはそのそばで算数の問題をノートに書いていました。ゆき子先生が女の子に「今だったらお金があれば何でも買えるのに、この頃はお金があっても食べ物も買えなくて困っていたんですよ。」と説明していると、Kさんがゆき子先生に向かって「先生、いくらお金があっても買えないものがあるよ。」と言いました。ゆき子先生は、「そう、それは何?」と聞き返すと、Kさんは「命だよ。」と答えました。ゆき子先生は、「そうね、命はお金では買えませんね。でも、もし命をお金でいっぱい買えたらいいのにね。」
と言いました。その言葉に対してKさんは何と答えたと思いますか?。
 Kさんは、「ちがうよ、先生。命はひとつだけだからいいんだよ。」と言ったのです。さらに、その後の言葉を聞いてゆき子先生は言葉を失ってしまいました。Kさんは、その後こう言ったのです。
「命は一つだけだからいいんだよ。だって、いっぱいあったら大事にしないでしょ。」
 みなさんは、この言葉を聞いてどう思いますか? ゆき子先生は本当にその通りだと思ったから返す言葉がなかったのです。一生懸命生きようとしたKさんは残り1月と言われた9月を無事乗り切ることができました。しかし、その後急に病気が重くなりました。10月になって、酸素テントの中で苦しそうに息をするKさんを励ますために、ゆき子先生は電車の切符を集めて持って行ってあげました。Kさんは返事の代わりに切符をしっかりと握りしめてくれました。そして、10月31日に2ヶ月間がんばって生きたKさんはとうとう天国へ行ってしまったのです。
 ゆき子先生は、その次の年から毎年、担任した子ども達に命を最後まで大事にしたKさんのことを道徳の時間に話して聞かせてあげているそうです。
 さて、みなさん。最近いじめにあって自分で自分の命を奪うという悲しいニュースをよく耳にします。校長先生は、天国のKさんがこのことを知ったらきっと悲しむだろうと思います。いじめることはもちろんいけないことです。でも、いじめられたからといって自分で自分の命をうばうことはもっといけないことです。Kさんの言うように命は一つしかありません。一度失うともう二度と還ってくることはありません。立野小のみなさんも自分の命を大事にしてほしいし、同時に友達の命も大事にしてほしいと思います。ですから、友達をいじめることはいけないし、友達に「死ね」とか「消えろ」なんていうことは決して言わないでください。
天国で見ているKさんの気持ちに応えるためにも、みなさんは自分の命を大切にしてほしいのです。そして、友達とも仲良くしてください。これで今日のお話を終わります。

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